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多目的トイレはありがた迷惑です

 障がい者用トイレには長い歴史があり、札幌市役所1階のトイレを作り変えるのにも15年かかった。今より前の障がい者用トイレは、一般用トイレを無理やりちょっと広げて、アコーディオンカーテンを付けただけであった。介助者も入っていけない狭さだった。私は、市役所のトイレでは誰にでもお尻を見られるのかと思った。それに怒りを覚え、15年間、「札幌市役所の1階に使いやすい障がい者用トイレがないことは恥である」と訴えた。最後に上田市長に訴えて、「あなたも裏切るのですか?」という手紙を書いた。上田さんはその手紙を見て、時間はかかったが、やっと立派な障がい者用トイレを作った。「今後、障がい者用トイレを作るときはここを見本にすればいいのですよ」と私は言った。

 しかしそうはならなかった。『多目的トイレ』という言葉は美しく聞こえる。私も最初は(あぁいいな。やっと楽してトイレに行ける。」)思った。しかし、とある病院の多目的トイレには、便座があり手洗い場があり、オストメイトがありベビーベッドがありベビー用の椅子もあり、障がい者用のベッドも設置していた。(あれ?このベッドを倒したなら、私の車いすはどこに入るのだろうか?介助者の人はどこに立つのだろうか?)と考えてしまった。このトイレの設計は、芯から障がい者用トイレを必要な人の意見は入っていない、ということに気がついた。そこは新しく建ったばかりの病院であった。(大変だ、また壊して直すのに10年か20年かかるのだろうか。)と思った。

 多目的トイレは広くて便利がいいので、みんなが使いたい場所になっている。昨日もスーパーに行った際、障がい者用トイレに向かった。すると歩ける元気のいいおばあさんが入ろうとしていた。私はもう我慢ができなかったので、「そこはダメ!」と言ってしまった。おばあさんは私の姿を見て「あぁ…」とがっかりした顔をして避けてくださった。障がい者だからといって「ダメ」とは言いたくなかった。でも私も命がけであった。

 他にも、若い女性たちがお化粧をしたりするために多目的トイレを使うこともある。ベビーカーが入ると、赤ちゃんの着替えなどに時間がかかって、次の人がなかなか入れない。今後高齢社会になり、もっと多目的トイレが重要になるだろう。

 もう多目的トイレはいらないのかもしれない。全部のトイレを多目的トイレにしてもいいのではないだろうか。予算と土地代がかかるので、こんな美しいことは言っていられないかもしれない。しかし、ハワイの観光地のトイレはすべて幅が広く手すりが付いていた。そして不ぞろいにオストメイトやベビーベッドや障がい者用ベッドが付いている所があった。(あぁ、これでいいんだな。誰でもどこでも使えるようにすればいいんだな。)と私は思った。

 障がい者用の斜めの鏡がある。それは1枚15万円もすると聞いた。私は驚いた。特許をとっているから高いのだろう。障がい者は15万円の鏡など求めていない。ただ縦長の、座っていてもお腹ぐらいまで見える鏡を壁に貼るだけでいいのである。この鏡なら1万円くらいで済むだろう。

 また、多目的トイレを独立させてしまうと犯罪が起きやすくなる。北欧やアメリカでは障がい者用トイレに失敗してきた。男が女を障がい者用トイレで襲うからである。だから北欧やアメリカでは、障がい者用トイレは使えないように、鍵をかけチェーンでぐるぐる巻きにしているものを私はたくさん見てきた。障がい者用トイレは一般のトイレと同じような場所に作り、扉の上下に隙間を空けておけばいいのである。

 障がい者だからといって考えすぎたものを作ったり、特別扱いをしてはいけないのである。今後、札幌市は多くの建物を建て替えなければいけない。そのたびに多目的トイレの議論をしている暇はない。様々な障がい者が集まり、設計者を呼び、どういうトイレが良いのかを研究して、誰もが使いやすいトイレにすることが、札幌を輝かせることになるのではないだろうか。

 この問題は、国会で木村英子さんが言っていたことと同じである。全国的な問題であり、札幌市だけの問題ではない。街づくりに障がい者が参加していないからこそ、設計を書く人は勘違いしてしまうのである。早く街づくりのグループを作り、札幌中をチェックしどのようなトイレが必要かを検討したい。トイレだけでは終わらない問題である。

 

 北海道新聞が記事にしてくださった。これからもっと突っ込んだ議論を書いてほしいと思う。札幌市の施設建て替えは始まっている。市外の民間の病院やお店など、あらゆる建物に障がい者が安心して入れるトイレを作るように基準を決め札幌市としての条例にし、係の役人や政治家や市長が変わっても、良い所は残していくというシステムを作っていかないと、同じ訴えを何度もしていかなければならない。私はそのことに疲れている。

 国会でも2人の障がい者が発言してくださるから頼もしく思う。全国に障がい者議員が増えている。とても頼もしいことである。今まで障がいのない議員が代弁して福祉を動かしてきたのである。代弁福祉はもう終わりの世界にしたい。もっともっと全国に障がい者議員が増えるべきであり、職場介助者をつけて役人の仕事も障がい者が担っていき、係長・課長・部長と出世していかなければいけない。私の知っている障がい者でお役人になった人は何人もいるが、出世していく人は聞いたことがない。そのようなことを繰り返しているからこそ、トイレごときに50年間以上もめているのだと思う。