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札幌いちご会 事務局

私の生活のア・ラ・カルト

    <いちご通信205号(2019年8月号)より抜粋>


澤口 京子(さわぐち きょうこ)

テレビハプニング

 

ある日、ショートステイに一泊をした時の出来事です。

泊まった翌朝の6時45分に、人の声が聞こえてきて、

(なんだろうな?)と思いながら目覚めました。


(廊下で誰かがラジオかなにかを聞いているのかな?)と、

寝ぼけ眼からだんだん覚醒してきて、音がする先を確認してみると、

なんと!私の部屋の中にあるテレビの電源が入っていました!


(昨日の夜は確かに消したのに…なぜ?誰が点けていったの??)

と戸惑っていると、

前の夜に入ってくれた職員の人が、着替えの介助をしに部屋に来ました。


そしてその職員さんも

「澤口さん、テレビ点いていますよ。

確か、昨日の夜は消してありましたよね?」

と言いました。


私は(やっぱり消したよなー)と確認できて、

「なんで点いたんでしょう?」と納得できずモヤモヤしました。

その後、ずーーーっと考えたんですけど、

きっと私の前に泊まった人がテレビの目覚まし機能を設定して、

そのまま帰ってしまったんでしょう。

それがわかるまで、なんだか不思議でたまりませんでした。


いちご会でその話をしたら、

「そういう機能がついているテレビがあるんだね。なかなか、わからないもんだね。」

っていうことが話題になりました。


そういうことでした。

 


偶然、遭遇いたしました。


ある日、森のくまさんが施設の入口で新聞を読んでいました。

(森のくまさんとは、私のことです(笑)。)


そしたら、

そこにスーツを着た若い女性2人が来て、私の目の前にあったソファに座りました。

どうやらその2人は、ここの面接を受けにきた雰囲気でした。


私は(どうしたらいいのかな?私が面接官をやろうかな?)とふと思ってしまいました。

以前、面接官の仕事をよくやっていたので、思わずそう考えてしまいました。


とりあえず「こんにちは」と、あいさつだけしました。

少し経つと、その2人は職員の方に呼ばれて、面接室に入っていきました。

(あぁ、やっぱり面接だったんだ。)と思いました。

それから私は自分の部屋に帰りました。


しばらくして、さっきの2人のうち1人だけが、職員に施設の中を案内されていました。

そして、会う人会う人に「○○さんです。職員として働くことに決まりました。」と紹介されていました。


私はびっくりしました。

採用を即決するのもすごいと思うし、

2人で面接した結果、1人しか選ばれなかったのも、びっくりびっくりの理由でした。

私が面接官だったら「合否は後程」と言いますし、

2人一緒に受けるのは勇気がいることなので、

1人だけ合格させると、もう1人に申し訳ないと思う気持ちが出てくるはずです。

採用した人は、すごい決断力の持ち主だなと思いました。


次にその施設へ行ったとき、

その面接で受かった人が、他の職員から介助の仕方などを細かく説明されていました。

その新しい職員の方は、メモ帳を片手に一生懸命メモっていました。

(あの時の人だな)と私はわかりました。


すると、今度は向こうから「こんにちは」と言ってくれました。

私は(彼女は私の顔を知っていたかな?一番初めに挨拶をしたのが私だったから、覚えていたのかな?)と思いました。


そんなことがありました。





 



新聞太郎


利用している施設に、今年の春ごろから採用になった若い男性職員がいます。

その男性は以前と比べて、なにかしらたくましく見えてきました。


私は彼に「なんか雰囲気がたくましくなったね。自信がついたのかな?」と言いました。

するとその職員は満面の笑みを浮かべながら、

違う利用者さんの車いすをスキップしながら押して、食堂へ移動していきました。

(なんとわかりやすい人なんでしょう。それとも、よっぽど嬉しかったのかな?)と思いました。


その人はたまたま、学生さんの時から実習に来ていて、そのまま職員になった人でした。

だからなおさらのこと、変わったことが印象に残ったのでしょうね。


彼は私に対して親近感をもってくれるようになり、今ではどんな介助もしてくれます。

彼と似た名前の人が、他の職員さんの中にいっぱいいるので、私は彼の名前をよく間違えてしまいます。

彼も「みんな間違うんだよね。」と、間違われることに慣れてきているようでした。


そういうこともあってか、彼は私によく「ぼくの名前は?」と、いたずら半分に聞いてきます。

私は(間違わないようにしないと!)と、緊張しながら正しい名前を言います。

すると彼は喜びます。


「ぼくの名前は?」と言われるたびに、山田太郎の『新聞少年』いう歌を思い出していましたが、出だしの歌詞は『僕のアダナを知ってるかい?』でした。

私の勘違いでした。


人を褒めるということは、すごく楽しいことだと実感できました。


これが私の日常です。

 



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