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札幌いちご会 事務局

嬉しい話 職場介助者決定!

執筆者 : 小山内美智子(おさない みちこ)


<いちご通信219号(2023年10月号)巻頭言・裏表紙より抜粋>


2023年、念願の職場介助者制度が決まった。

(正式名称は「札幌市重度障がい者等就労支援事業」)

札幌市障がい福祉課の方々がいちご会に来て下さり、詳しい内容を説明して下さった。重度訪問介護サービスを受けている人が会社に雇われる時に、職場で介助するヘルパーさんに時給が出る制度だ。

まだ矛盾が沢山ある。重度訪問介護サービスを利用する人は働くことが困難な人が多く、一般の職業を選ぼうとしても難しいと思う。保育園から大学までの生徒・学生さん達に、障がい者達はどのように生きているかを伝えるために、学校を回り、自分の生活をビデオに撮り話をすることが、最も重要な重度訪問介護サービス利用者の仕事ではないかと思う。

仕事の幅をもっと広げなければ、多くの障がい者は職場介助者を受けられないことになる。


私達は、働くことについて常に考えてきました。自分のことは何一つ出来ない者が、働けるのだろうか、と若い日々悩んできました。一生人々の世話になり、生きて行かなければならないのか、と考えていました。

このことは何度も書いていますが、私が高校生の時、職場実習にどこも行くところがなかったのです。悔しくて泣いていました。そんな時、テレビでアメリカのお年寄りが、勉強が遅れている子供たちに勉強を教えている姿が目に飛び込んできたのです。私達にも何かできると思い、老人ホームに行き、お年寄りのお話を聴いたり、足指でタイプライターを打ちお年寄りの話を聴き手紙を書いてあげたのです。すると、その手紙を読んだ子供たちが老人ホームへ面会に来て下さったのです。

そこで私は、働く意味を知りました。嬉しかったのです。こういうことをして生きると決めたのです。給食やトイレは職員の人達が手伝ってくださいました。それは、今回決まった職場介助者だったと思います。


札幌いちご会は46年目に入ります。いろいろな市長さんとお会いし、札幌を変えてきました。一番大きな仕事は、地下鉄にエレベーターを設置したことです。大変でしたけれど今は、障がいの無い人の方が便利よく使っていますね。酔っぱらった人や、怪我をした人や大きな荷物を持っている人にとって、エレベーターは大変便利なものです。

エレベーターが出来た時、「車いすの人しか乗ってはいけません。」とエレベーターに張り紙を貼られ、私達は驚きました。札幌市の人と何度も話し合い、その張り紙を取るように訴えました。そして、数ヶ月かかったでしょうか、やっと取って下さいました。

障がい者は、それでも札幌市は力を入れて下さって、とても増えています。安心して出かけられることがとてもありがたいです。しかし、小さなスーパーやレストランでは、障がい者用トイレがありません。障がい者用トイレを設置するためには平米数が決まっているからです。それを少しずつ変えていかないと、私達は安心して出かけることが出来ない時もあります。


職場介助者のことに戻りますが、1979年の25歳の時にスウェーデンに行っていろいろな障がい者と制度を勉強してきました。一番驚いたことは、学校に行った時、先生が足でパソコンを打っていました。そして、その打ったパソコンの字が黒板に出ました。小学校3年生くらいの子ども達が真剣に勉強していました。

給食の時間になると、先生の前に子供たちが3人くらい立ってきて、スプーンを握り先生に給食を食べさせてあげてました。後ろには職場介助者の人が立ってました。私は感動し「このような光景は日本でいつ観られるのか」と思いました。私は先生に「子供たちに給食を食べさせてもらう事で、親から勉強に遅れると言われませんか?」と聞きました。先生は煙たい顔をし「子供たちに給食を食べさせてもらうのが、私にとって一番良い教育です」と仰いました。私は、涙が出そうでした。

人間には常に可能性があり、働けるんだなという事を障がい者さんに伝えていかなければならないと思います。それを伝えていくのが職場介助者の制度です。これからどんなことが起きるのか楽しみです。


あらゆる学校に障がい者が行き自分がどのように生活しているのかを、パソコンで見せたり話したりすることが大切です。ヘルパーがもの凄く足りなくて困っています。ヘルパーが障がい者の世話をしてあげることだけで済ませていると、ヘルパーの人口は増えていきません。同じ人間として、周りの人に障がい者達はどのようにして生きているかを伝えていかなければいけない仕事だと思っています。

機会があれば、教育委員会の人達に会い話し合いたいと思います。「障がいのない人達には教えられないことを、私達は持っている。」ということを伝えたいのです。スウェーデンでは、大学の先生も障がい者はとても多かったです。どこへいっても障がい者が働いている姿が観えることが、これからのインクルーシブ教育であり、札幌市としても取り組んでいかなければならないと思います。


全国的にも素早く、職場介助者の制度を進めていかなければいけません。それは、障がい者団体の一番の仕事だと思います。札幌市もまだ、職場介助者を雇入れる仕事幅が狭いと思います。どこかの会社から仕事を頂きパソコンの打ち込みをする人や、ヘルパー事業所で働いている人など、と市役所の方が仰っていましたが、上記に書いた私の経験から、どんなに障がいが重い人でも学校や会社などに行き、自分たちがどのように生きているかを話していくことが、大切だと思います。仕事の幅を広げていくと、寝たきりの人でも働けるチャンスがやってくると思うんです。私達は、ヘルパーを見つけ自分の為に生きなくてはいけません。そして、自分の障がいを持つ身体を使って、多くの人々に障がい者の生きざまを観て聴いていただくことが大切だと思います。


「私達も、人の為に生きたいのです!」

その考えこそ職場介助者の理念だと思っています。

これからの札幌市は、11人の障害者が職場介助者を付け働いていきます。「その人たちと会って意見交換をさせて下さい」と頼んでいます。その中から、また色々な人たちが考えを膨らませていくことが大切です。「職場介助者ばんざい!!」暗いニュースの中で明るいです。






対象者

下記の1から3のいずれにも該当している方が対象です。

  1. 札幌市に居住地を有している者であること(就業場所は札幌市内に限定しない)

  2. 札幌市から重度訪問介護、同行援護、行動援護のいずれかの支給決定を受けていること

  3. 1週間の所定労働時間が10時間以上であること(※)


※就労継続支援A型事業所や国家公務員、地方公務員、国会議員、地方議会議員等の公務部門で雇用等されている者その他これに準ずる者は対象とはなりません。




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